バックラッシュ攻撃に屈した豊中市・財団の
人格権侵害を認めた大阪高裁判決を確定させよう

                                   

2010年8月9日
 弁護士寺沢勝子


高裁判決の意義はなんといっても、バックラッシュ勢力の攻撃に屈する自治体も出てきている中で、バックラッシュ勢力の攻撃の内容を詳しく認定し、攻撃に対して毅然と対峙して男女平等を推進してきた三井マリ子さんを、攻撃に屈して財団から排除したことを人格権侵害で不法行為にあたるとしたことです。

高裁判決は、「財団の事務局長および財団を設立し連携関係にある市の人権文化部長が事務職にある立場あるいは中立であるべき公務員の立場を超え、控訴人に説明のないままに常勤館長職 体制への移行に向けて動き、控訴人の考えとは異なる事実を新館長候補者に伝えて候補者となることを承諾させたのであるが、これらの動きは控訴人を次期館長には就かせないとの明確な意図をもったものであったとしか評価せざるを得ないことにも鑑みると、これらの行為は現館長の地位にある控訴人の人格を侮辱したものというべきであって、控訴人の人格的利益を侵害するものとして不法行為を構成する。」としました。

昨年8月、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)は女性差別撤廃条約の実施状況について、日本政府に対する総括的所見29項で、「委員会は締約国において男女間の不平等が根 強く存在しているにもかかわらず、女性の人権の認識と促進に対する『バックラッシュ』が報告されていることに懸念を有する。」としています。そして、30項で「条約第5条で要求されている女性と男性の役割や任務に関する文化の変革を推進するよう勧告」しています。

高裁判決は、三井さんの頑張りは勿論のこと、浅倉むつ子先生の意見書をはじめ、バックラッシュ攻撃の資料集め、陳述書作成などで、三井さんの裁判を応援して下さった全国の支援者の皆様のおかげです。

豊中市、財団は最高裁に上告・上告受理申立てをしましたが、上告審は憲法違反、法令違反、これまでの判例違反を審理する場であって、事実認定について争うことはできません。

豊中市、財団が提出した、上告理由書、上告受理申立理由書を謄写して、内容を検討し、反論すべき部分があれば反論し、CEDAWの勧告にも添う高裁判決を確定させましょう。


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