不正義が蔓延する社会に風穴を開けた

正路怜子(WWN元会長、働く女性の裁判基金審査委員)


 三井マリ子さんの勝利を祝う会に行ってきました。夫がこの日の朝に退院したので、ちょっと大変で、しかもJRの事故で30分遅れ、「すてっぷ」についたのは、浅倉むつ子先生の講演の終わりごろでした。

 住友電工の裁判勝利を祝ったあの懐かしいホールは満員でした。

 浅倉先生の話では、女性センターなどの館長を、本人の意思に反してやめさせられたケースは10件以上あるが、みんな表には出ないで、うやむやにされている。三井さんのように理不尽なことは許せないと頑張って、試験も受けたから、こういった裁判になり、バックラッシュや行政の問題点が明らかになった。

 また、有期雇用だから、非常勤だから、非正規雇用だから・・といった今の社会にまん延する不正義を、憲法13条の「個人の尊厳」をものさしに、「人格権をふみにじる違法行為」と認定させた。

 若者や女性の半分は非正規雇用といった今の社会に、警鐘をならし、風穴をあける判決でした。女性政策がバックラッシュ勢力のために後退していることへの警告でもありました。

 まだまだ問題はいっぱいですが、三井さんも弁護団も支援する会もご家族も、本当にご苦労様でした。

 この日は三井さんのお誕生日で、大熊一夫さんのオペラ歌唱:モーツアルト『フィガロの結婚』より「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」、浅倉むつ子さんのピアノ演奏:ショパン「ワルツ 作品64の2 」も、とても素敵でした。

 なお、「働く女性の裁判基金」は、三井さんに基金を授与して裁判を支援しました。「働く女性の裁判基金」から、この日参加した石田絹子、西村かつみ、白藤栄子、正路怜子に感謝状が贈られ、豊中市民でもある白藤さんがあいさつしました。

 いま思い出したのですが、たしか白藤さんは、住友電工の裁判をするときに、豊中市から裁判費用を借りたのでした。すてっぷの初代館長の一般公募も含め、先進的な女性政策を誇った豊中市でしたが、バックラッシュ攻撃に屈してしまったのです。

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