立ち上がった三井さんの意志と力、支援者の存在

岡田夫佐子(名古屋市)


 2011年5月21日、豊中市のすてっぷで、三井マリ子さんの最高裁勝利集会があった。112名の笑顔でいっぱいの会場は、狭く感じられるほどだった。

 弁護団の4人は、これまで法廷内や法廷終了後に見せた厳しい顔とは違って、緊張の解けた緩やかな表情だった。寺沢勝子弁護士は、裁判の勝因を、直接には浅倉意見書としつつ、立ち上がった三井さんの意志と力、我々支援団の存在も挙げた。川西渥子弁護士は、一審敗訴で悔し泣き二審勝訴で嬉し泣きした三井さんのエピソードを披露した。

 宮地光子弁護士は、住友電工勝利和解パーティがあったまさにこのすてっぷホールが三井さんとの出会いの場だったと、感慨をこめて話した。そして島尾恵理弁護士は、密約の存在を事実上認める判決を下した塩月秀平裁判長は、ネット上の“人物相関図”で、三井マリ子と浅倉むつ子と=で結ばれていると、会場を沸かせた。

 メイン講演である浅倉むつ子先生の「人格権」の話には引き込まれた。「自分自身に起きた辛い事実を客観的に書くのは非常に難しいが、三井さんはすばらしい陳述書を書いた。それがあったので意見書を書けた」との指摘が、私にはうれしかった。これこそ、この裁判と三井原告に私が引きつけられた原点だったからだ。また、人格権が侵害される背景として、一つの価値観しかないホモ・ソーシャルな、異質な物を排除する労働環境があると語った。そして「この裁判は、男女共同参画社会実現のための訴訟だった」と、むすんだ。

 原告三井マリ子さん、豊中市民の和田明子さん、毎日放送ディレクター斉加尚代さんの話もみな個性あふれ、示唆に富む話だった。しかし紙面がない。

 第2部では、生涯2度と耳にすることはないと思われる浅倉むつ子先生のショパンのピアノ演奏があった。さらに三井マリ子さんのパートナーである大熊一夫さんのモーツアルトのオペラ。アンコールの「オーソレミオ」は私にも聞き覚えのある歌であった。どちらも末長く印象に残るであろう。

 最後に、会場から、「すてっぷ財団と豊中市がこの訴訟に支払った弁護士報酬は、1000万円を超える」と情報公開書面を手に豊中市民が怒りの発言をした。豊中市に対する怒りに共感しつつ、こちらの弁護士さんが全員手弁当であることに、あらためて頭が下がる思いだった。

←もどる

トップへ戻る
トップページへ