三井マリ子さんに聞く

憲法24条をなしくずしにしないために

「館長雇止め・バックラッシュ裁判」学習会 と その後

高橋 芳恵


 7月30日、三井さんをお招きし、少数・精鋭?で、バックラッシュ裁判の学習会を行った。三井さんは一貫して男女平等にこだわって活動してきた。それは、男女が平等になることが、戦争をしない平和な国に一直線に繋がるからだ。この間、男女平等の先進国ノルウェーが、どのようにして平等を勝ち取ってきたかを詳しく、講演・著書などで知らせてくれた。そして、男女共同参画条例制定後、豊中の女性センター・館長に公募で就任した。男は男らしさを押しつけられず、女も、女らしさを押しつけられず、自分らしく生きることが、どんなに心地よいものか少しずつわかりはじめた、と思ったのもつかの間、バックラッシュが始まった。

 男女が平等になり、自分の主人は自分自身であると自覚し、みんな自分のことは自分で決めるようになったら、何が、誰が、困るの? 命令ひとつで疑問を差し挟まず行動する指示待ち人間→人間の心を持たない命令に忠実な兵隊を大量生産したい!・・・この国は、本気で『戦争の出来る国創り』に突進しようとしている。自由気ままに生きているような今の若者が命令ひとつで戦争に行くわけがない・・・と思っている私の身の回りのたくさんの人たち。今年は戦後60年の節目。あの戦争のときも“ふつうの人たち”は誰も戦争の結末を予想し得なかった。戦争に反対でも「あれよあれよ」というまに反対の声をあげることすら出来ない相互監視状態におかれた。政策に異議を申し立てる者は、どさくさにまぎれて虐殺された。

 何が大事か、いまこの時、何を再優先課題として論議しなければならないのかわかってない小泉首相が、「八つ当たり解散」をした。「戦国時代の織田信長が好きだ」という彼は、「自分に刃向かったものの選挙区には刺客を送る」・・。そして、その『刺客』には女が多い。・・・これって、まさか、政略結婚の道具に女を使ったアレ?

 三井さんの著書に『男を消せ!』(毎日新聞社)がある。非常にユニークな題名だ。「ノルウェー政界では、なぜ女性が大躍進できたのか。・・・そこには女たちの驚くべき作戦があった・・・」とある。ノルウェーでは比例代表制選挙ではあるが、日本のように拘束名簿ではない。選挙民が名簿順を変えたり、名前を消したり、別の名前を書き加えたりすることが出来る。1971年の選挙で女たちは秘密裏に作戦を開始した。名簿で女の前にある男の名を全て消すのだ。その男が政治力があろうが、有名だろうが、党首だろうが、そんな事はいっさい関係なく、男という男を全て消し去るのだ。・・この時、女が男を上回った議会が3市。女が40%を以上の市は9市。女がゼロの議会は78市から22市に減った。

 私は女ともだちと仲たがいした時、自分の精神のありようを計る目安として、「この女が、選挙に出たら、私は応援できるだろうか?」と考える。「意見の違いはあっても、相手の全人格を否定するものではない!」どこかで聞いたこのセリフをわたしは後生大事に守ろうとしている。

 しかし、今回、小泉の放った刺客は女ではない! 道具だ! 道具は簡単に戦争に使われる!



出典:『あごら札幌』2005年8月20日 発行) 


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