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21世紀の奴隷解放運動
館長雇止め・バックラッシュ裁判を提訴して
三井 マリ子(館長雇止め・バックラッシュ裁判原告)
弁護団の皆さんと原告三井さん(右から2人目)
2004.12.17 大阪地裁にて 撮影:ふじみつこ
昨年3月、大阪府豊中市は男女平等に反対する勢力に屈して、なんら合理的な理由なく私を“解雇”しました。その後、強力な弁護団に励まされ、12月に大阪地裁に提訴することができました。この裁判は、私の人生の中でも最大の仕事になると思います。応援してください。
思い起こしますと、2004年1月12日、『すてっぷ』(館長は私)で催された「住友電工裁判の祝勝パーティ」が私に提訴の決意を促したと言えます。そこで裁判原告の西村かつみさん、白藤栄子さんにお会いしました。お二人の10年近い闘いによって性差別の厚い壁のひとつが崩れたことの意味を、あらためてかみしめました。その時、主任弁護士だった宮地光子先生に、すてっぷでの私の窮状をお話し、後日、相談に伺うことになったのです。
今回の裁判には、宮地先生をはじめ、寺沢勝子、大野町子、川西渥子、石田法子、島尾恵理、乗井弥生の諸先生7人が主任弁護団を結成してくださいました。訴状は4万字にものぼります。
2000年秋、私は、『すてっぷ』初代館長が全国公募されたのを知って応募し、館長に就任しました。1年契約をごく自然に3回更新し4年目でした。
ところが04年2月1日、市は臨時に『すてっぷ』理事会を開き、「組織強化」の美名のもとに「非常勤館長を廃止し、館長は事務局長兼務の常勤職」としました。この常勤館長職は公募とせず、理事長の任命する採用選考委員会選考することも決めました。私はあえて採用試験を受けたいと申入れ、一部理事の意見もあって市は受け入れました。2月22日、採用試験に臨みましたが不合格でした。
実は、市は03年秋頃から極秘に後任館長の人選を進め、約10人の候補リストを作成し、打診をしていました。そして採用試験2ヶ月前の03年12月には次期館長を決めていました。私が受けた採用試験は茶番劇だったのです。
なぜ豊中市が私を“解雇”し“採用拒否”したか。狙いは2つあると思います。
第一に、市議会議員を中心とするバックラッシュ(反動・逆流)攻撃に市が屈し、私を排除したくなったのです。たしかに02年から『すてっぷ』や私への攻撃が目立つようになりました。市議会議員の度重なる嫌がらせ質問、すてっぷ窓口への執拗な妨害行為、市役所周辺での悪質なビラ撒き、講演会における難癖、根も葉もない噂の流布……男女平等を敵視し、固定的性役割にこだわるバックラッシュ勢力のいつものやり口です。
もう一つ問題がありました。『すてっぷ』就業規則によれば、館長を含む嘱託職員は、よほどの事がない限り何回でも更新が可能です。館長は定年なし、他は60歳定年です。ところが、市は、03年夏、館長を除く嘱託職員の就業規則を「更新回数の上限を4回とする」に改悪する案を出してきました。嘱託職員は全員女性です。つまりこれは女性差別でもあるのです。この雇止め案に、私が賛成するはずもありません。市は、反対することが明らかな私を排除したかったのでしょう。
こうして、豊中市と財団は、非常勤館長廃止と常勤館長採用拒否をセットにする手口で、私を“解雇”したのです。女性の地位向上政策を遂行するべき豊中市が、バックラッシュ勢力に屈し、かつ非正規職員の雇止めを強行するために、非常勤管理職の首を切ったのです。これは女性差別、非常勤職差別と闘う裁判です。そしてバックラッシュに反撃するための裁判でもあります。
北欧だけでなく多くのヨーロッパ諸国は、非正規職員と正規職員の雇用条件は同等と定められています。4年以上勤務すると正規職員とみなされる国もあります。雇止めは事実上の解雇であり、きちんとした理由がなければ不当解雇とされます。
一方、日本の正規職員と非正規職員の雇用条件には雲泥の差があります。非正規職員は雇用主のご都合で首を切られる可能性があり、魂まで雇用主にささげることを期待されているのです。まるで奴隷のようです。その意味で、この裁判は21世紀の奴隷解放運動だと私は思っています。
(WWNニュース38号より)
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住友電工裁判元原告たちの和解金と有志による寄付により、裁判に立ちあがろうとする女性たちに役立てたいと設立された裁判基金を、三井さんが第一号で受けることになりました。(基金についてはWWNのホームページをご覧ください。)
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