女性センター館長解雇の陰にバックラッシュ 

1年更新の非常勤は使い捨て労働では?

三井マリ子さんの話を聞く会山形市で

山形にて

 各地で人も予算も削減されているのが「女性センター」。男女共同参画は行政の中で重要な地位を占めているにもかかわらずバックラッシュ(逆流)があちこちで起きているのも事実だ。そんな折り、大阪・豊中市の女性センター「すてっぷ」の初代館長に公募で採用された女性政策研究家の三井マリ子さんが2004年3月、事実上の解雇になった。いったい何が起こっているのか、なぜ裁判を起こすまでに至ったのか、6月19日、山形市男女共同参画センター「ファーラ」で三井さんは、参加した約50人の男女を前に語った。



 全国行脚をしている三井さんを招いたのは「三井マリ子さんの話を聞く会」(菅野節子実行委員長)の有志たち。全国の女性センター館長に非常勤が多く、気に入らなかったら雇い止めにされるのは、女性の働き方にも大きな影響があるのではないか、との思いが強かったからだ。

 三井さんは都議会議員を辞めたあとノルウェーなどの要請で北欧を中心に女性政策を研究していた。00年春、大阪・豊中市で初代館長を全国公募していると知った。60人以上の応募者から10人が絞られ、論文と面接で三井さんは晴れて初代館長に就任した。

 「私は他ではできないような人を招いて事業をやり、職員も燃えて『すてっぷ』は全国に知られるようになりました。でも03年秋以降、何かがおかしい。議会で問題になっているようだ。『私クビになるのかな』とばく然と感じていました」

 04年2月、臨時理事会が開かれ、職員体制の強化が話合われた。非常勤を常勤にするという。自分もその対象だと思っていたが実際は違っていた。

 屈辱的ではあったが、自分も候補の一人に入れてもらうよう頼み、面接を受けたが結果は不合格。何のことはない、後任はすでに決まっており、面接はアリバイでしかなかった。理由は「雇用主の都合による契約切れ」だった。

 「実は5年以上の非常勤は常勤になれる判例があります。だから5年になる前に辞めさせたかったのだと思います。三井はうるさそうだ。まずいと気づいたのでしよう。不当解雇だと思い04年、12月に提訴しました」

 背後には強力なバックラッシュがある、と三井さん。現在、38人の弁護団が力になってくれているが、バックラッシュで裁判をする難しさも覚悟はしている。頼みにするのは、男女共同参画基本法を健全に育てていこうとする市民の応援であり、事実、支援の輪は全国に広がっている。



 

出典:山形の介護・女性情報誌 月刊『ほいづん』2005年8月号

『ほいづん』連絡先 Tel 023-629-8154 Fax 023-629-8382)

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