館長雇止めバックラッシュ裁判報告会inびわ湖

滋賀地方自治研究センター理事(大津市議会議員) 岡田 啓子



 「男女平等」推進への反動・逆流(バックラッシュ)が今、日本全国で猛威を振るっている。「男女平等」を批判する勢力は、男女共同参画社会基本法に基づいた各地の条例作りや、性教育に対して圧力をかけ続け、社会的・文化的な性差を意味する「ジェンダー」という言葉を教科書や行政文書で使用をさせないようにしてきている。

 この凄まじいバックラッシュの標的となり生贄にされ、昨年(04年)3月末で館長を辞めさせられてしまったのが三井マリ子さんである。

 全国公募により「とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ」の初代館長(非常勤)に選ばれた三井さんは、2000年秋に就任して以来、男女平等を根づかせるための独創的な企画を次々に打ち出し、市民はもちろん豊中市や日本中から注目される成果をあげてきた。大津市でも「おおつに日本女性会議がやってくるフォーラム」や「日本女性会議2003おおつ」第4分科会の講師として活躍いただいている。

 ところが、02年秋頃から「すてっぷ」や三井館長への執拗な攻撃(議会での嫌がらせ質問や「すてっぷ」窓口への妨害行為、誹謗中傷など)が始まりエスカレートしていった。「男女平等」と「戦争放棄」が気に入らない人びとの全国的な組織を使っての攻撃である。

 豊中市は03年秋頃から極秘に後任館長の人選を進め、「非常勤館長を廃止し、館長は事務局長兼務の常勤職」とし、非常勤職員として雇われていた三井館長は04年3月末で雇止め、つまり「解雇」された。館長として働き続けたいという三井さんの切実な願いは届かなかった。こんなに簡単に、優れた人材を「首切り」できるものなのかと愕然とする。

 三井マリ子さんはバックラッシュに対抗するために、また女性が圧倒的に多い非常勤の権利拡大のため、04年12月裁判に立ち上がった。

 男女共同参画は21世紀の最重要課題である。男女平等の施策を推進していくのが行政責任であり、その拠点として各地の女性センター・男女共同参画推進センターが存在する。男女共同参画社会基本法に基づいて一生懸命に仕事をする館長・職員が職場でバッシングに遭うようなことがあってはならないし、三井マリ子さんのようにバックラッシュ勢力にスケープゴートとして差し出されることを許してはならない。

 今回の雇止めは、豊中市だけの問題ではなく全国どこでも起こり得る問題である。三井さんを支えよう、応援しようと全国各地で女性たちが中心になって報告会が開かれ、ドンドン連帯の輪が拡がっている。大津・滋賀でもやろうよと、私を含む5人の女性が呼びかけ人になって「報告会inびわ湖」開催の準備を進めてきた。7月3日、大津で開かれた報告会では参加者一同、裁判という困難な大事業に勇気を持って立ち向かう三井マリ子さんの熱い思いを直接聞き、連帯して行動しようと確認、元気付けられた一日となった。

 もっと詳しいことをお知りになりたい方へ

   ファイトバックの会  http://fightback.fem.jp/

岡田啓子  http://www.okadakeiko.jp


 

出典:『滋賀地方自治研究センターNEWS』 2005年7月号(Vol.44)

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