「館長雇止め・バックラッシュ裁判」第1回口頭弁論を傍聴して

                                      

東京都八王子市議会議員 井上睦子



  2月2日、大阪地裁で三井マリ子さんの豊中市と(財)とよなか男女共同参画推進財団を被告とする館長雇止め裁判が始まった。裁判には、関西地域だけではなく、北陸、中四国、関東地方などからフェミ議連のメンバーや多くの支援者が集まり、法廷に入りきれない程だった。

 まず、三井さんは、「館長就任以来、最大限の努力をしたにも拘わらず市当局はバックラシュ勢力の圧力に屈し、非常勤ゆえに使い捨てにされた。バックラッシュの陰湿な攻撃は男女平等の推進を後退させている。バックラッシュ攻撃がいかに人類の進歩と発展に逆行するものかを裁判で述べていきたい。」と強く主張した。
 寺沢勝子弁護士からは、「本件訴訟は、バックラッシュに屈せず男女平等を推進するのか、その多くが女性であり男女差別にもなっている非正規職員に対する合理的理由のない雇止めを許すかを問う訴訟である。」と弁論があり、約10分程度で終了した。

 交流会では、「バックラッシュの息の根を止める裁判に」と弁護団から裁判の意義が語られ、参加者からは嘱託職員に対する不当解雇への闘いなどが報告された。
 バックラッシュは、国会でも都議会でも凄まじい勢いになっている。政府や自治体は反論や主張をせず、これに乗じてさえいる。
 私は、数年前まで時代遅れの老人達の戯言だと考え、真面目に相手にするのも嫌だと思っていた。しかし、何が問題なのか明らかにし、きちんとした反論を開始しなければ、三井さんが口頭弁論で指摘したように、「つけは主に女性たちが受ける」ことになる。この裁判は、バックラッシュ勢力に対する反撃なのだ。

 豊中市のバックラッシュ攻撃の陰湿さは「訴状」に詳しいが、私の暮らす八王子市も例外ではない。市の行事をチェックし、議会ではジェンダーフリーや性教育についての否定的な質問もある。こうした動きに屈服しないよう、世界女性会議での行動綱領や男女共同参画社会基本法の意義を確認し、行政と連携して具体的な施策を実行することを強めたいと思う。
 また、規制緩和や自治体の財政悪化によって生み出されている非正規労働者は多くが女性である。この裁判は、間接差別への告発でもある。

 三井さんは、女性が貶められること、女性の権利が侵害されることに対して、いつも前に出て闘ってきた。裁判は困難を伴うが、多くの女性たちが自分の問題として考え支援している。


* 「訴状」はファイトバックの会で頒布しています。PDF版と印刷版があります。
 PDF版はホームページから訴状(PDF版)
 印刷版はメールfightback@hh.fem.jpでご注文ください。



 

(出典:『AFER Vol.46』(全国フェミニスト議員連盟 2005.4.30発行) )

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