「女性問題の書として読んで:三井マリ子『陳述書』」

館長雇止め・バックラッシュ裁判 





 「館長雇い止め・バックラッシュ裁判」を闘っている三井マリ子さん(とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ元館長)の陳述書が出版された。

 すてっぷで三井さんに何が起きたのかは訴状でも詳しいが、陳述書のほうが裁判用語ではなく、三井さんの言葉で書かれているので心情がよく出ていて解りやすい。A4版で1〇〇ページをこす力作だ。

 1章、2章では、新しい女性センターに魂を吹き込む仕事は自分にぴったりの仕事だ、と希望を持って豊中市の全国公募に応募したいきさつ、すてっぷオープン式典での扱われ方を通して、独立した機関である「財団法人・すてっぷ」が、実際には豊中市の絶対的な支配下に置かれていることを感じたことなど、最初から引き込まれていく。

 3章は、意欲的に取り組んだ企画事業の数々。その斬新な企画はメディアからも注目されて、すてっぷの評判を全国的に高めていった。

 その頃、男女共同参画基本法が制定(1999年)されて、各自治体で条例の制定が始まル中で、意欲的な仕事をする三井館長は、バックラッシュの標的になっていった。この動きに対して、全国公募までして東京から招いた館長に豊中市は何をしたのか、何をしなかったのかが詳細に記述されている4章、5章を読んでいると恐怖を感じる。

 議会対策のために、組織をまもるために、行政が取った行動は・・・、豊中市だけの問題ではない。三井裁判が問うている女性の雇用問題、バックラッシュの問題は、女性差別の問題であり、わたしたち1人ひとりの問題である。

 裁判の理解のために、女性問題の書としてもぜひ読んで欲しい陳述書だ。

 館長雇い止め・バックラッシュ裁判
  『陳述書』 800円
  送料一冊  290円
 連絡先 530−0047大阪市北区西天満2−3−16 絹笠ビル1F
     大野協同法律事務所内 ファイトバックの会
 郵便振替口座:00910−0−137307
 口座名:ファイトバックの会



(出典:女性ニューズ 2006年5月20日(土))



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