三井さんにアクセスするまで

伊藤 由子


 今、仙台市の男女共同参画推進センターとして19年間の実績を誇るエル・パークが存続の危機にさらされている。これは、仙台市の新年度予算の男女共同参画関連の予算が大幅にカットされた事で明るみに出た。(06.2.15河北新報)

 その10日前後の2月26日、同じ新聞の報道では男女共同参画優良3社が県から表彰される!との記事があった。

 「女性の登用・雇用拡大」「仕事と家庭の両立支援部門」「セクシャルハラスメント防止部門」など、各部門毎に評価された結果、3社が選ばれていたようだ。《詳しくは当方にお問い合わせを》

 実は「男女共同参画基本計画」は、5年毎に改定されることになっていて、5年目の2006年の春を前に、あちこちで“ジェンダー論”が(論と言われるような高尚なものとはとても言えないが)噴出してきた。「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査」(安倍晋三座長)など、国のレベルでも怪しげな言動がみられるようになってきている。

 一例に東京都七生養護学校の性教育への介入があり、2002年から日本各地で「ジェンダー《社会的文化的に形成された性別》の用語」にさえも異論がでてきている。しかし、この言葉も国連女性会議で提言され普及し始めたのは、わずか5、6年前。

 なのに、と思っていたら、憲法24条の改悪キャンペーンとリンクしていることに気づかされた。

 「“ジェンダー”論の背景には国の根幹を揺るがす「憲法改悪」というシナリオが用意されているようだ。

 一方、アメリカではブッシュ政権が「中絶」を権利として認めない方向に舵をとる情勢にあるなど、女性会議に逆風が吹き出したこととも関連がありそうで、ただ、ただ焦っていた。

 そんなときに住友金属女性賃金差別訴訟を闘ってきた女性のことが大きく報道された。私の背中を押してくれたのは同じ世代の彼女らの行動だった。それから講演会の企画をし、講師探しを開始。たまたま、三井さんが大阪でシンポジウムのパネラーをしている記事を見つけ、初めてFAXをしたのは2005年12月16日だった。

 よりによって彼女が住友電工男女差別裁判を機に発足した「働く女性の平等への挑戦・裁判基金」の最初の活用者であったとは!

 手繰り寄せた糸が(赤い糸!)こんなふうにつながっていようとは、偶然とは言え、すごいものを見つけたようで、嬉しかった。国内で吹き出物のように噴出している保守化というバックラッシュ(逆風・反動)に対抗していくエネルギーを共有していきたいと思っている。しばらくは彼女の館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援しながら、その熱い戦いの報告に耳を傾けたい。決して他人事ではない


(出典:『教育労働ネットワーク』(2006 秋 No.43 編集責任者・佐藤進、981-0942 仙台市青葉区貝ヶ森3-16-2 TEL022-278-5747))



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