「小さな一歩を進める」

高橋芳恵(ファイトバックの会@札幌、あごら札幌)


 本誌、2006年4月15日号の、マルチン・ニーメラー「痛恨の回想」について書かれた記事を読み、いつも気になっていた。ナチスドイツの時代、「忍び寄る社会不安」に対し、気にしつつも何も行動しないうちに、いつのまにか自分のこととなり、いざ、行動に立ちあがったときはもう遅かった、という内容のもの。

 04年3月、バックラッシュ派の攻撃に屈した大阪・豊中市は、女性センター・館長の三井マリ子さんを雇止めにし、彼女は12月提訴した。

 今の総理・安部がいう「美しい日本」とは、「男たるもの、女・子どもを守るためには武器を持って闘う」人づくりを目指している。男女平等になって、平和な社会を築かれては困るのだ。・・・男女共同参画条例(男女平等参画ではなく)が制定され始めたときすでにバックラッシュ派は、攻勢を始めていたのだ。

 その後もジェンダーバッシング・性教育バッシングが各地で繰り返されている。でも私は低賃金・長時間労働・親の介護と言訳し、集会参加者ではあっても、それ以上は何もしなかった。

 そこに、「松井やより全仕事展」のオープニング・リレートーク『女たちの今:私たちは主張する』への参加要請があった。人前で話すのは超苦手なので即お断りした。しかし、「痛恨の回想」を思いだした。一大決心をし「松井さんの全仕事を全否定する」ようなバックラッシュ派の攻撃に対し、私なりの主張をした。

 「女ならやってみろ!」と自分に言い聞かせ小さな一歩を進めることができた。


(出典:『ふぇみん』 2007年1月25日号 ふぇみんルームに掲載)



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