ジェンダー・バイアスなくした裁判を
大阪・豊中市の「バックラッシュ裁判」
               不当判決に抗議



 三井マリ子さんは 「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(原告・三井マリ子さん)の不当判決(9月12日)に抗議する報道向けの報告会が先ごろ、大阪市内で開かれた。

 三井さんは、2000年、大阪府豊中市の「男女共同参画推進センターすてっぷ」の初代館長に全国公募によって選ばれた。斬新な企画で市民を元気づけてきただけでなく、全国的にも注目され、豊中市も理事会も三井さんの実績や貢献を評価してきた。ところが04年3月、三井さんは「解雇」された。

 豊中市は、03年11月、「センターを強化するため非常勤館長を常勤化する」と三井さんに告げた。一方、「常勤になったら第一義的には三井さんです」と言いながら、後任館長をこっそり決めていた。後、三井さんが「常勤館長をする意志がある」と表明したこともあって、次期館長の採用試験が行なわれることとなり、三井さんは受験したが不合格となった。

 三井さんは、こうした事態の背後には、男女平等を嫌う「バックラッシュ議員」の圧力に市が屈したことがあるのではないかと認識し、雇用継続を拒否されたことは違法だとして同市と「とよなか男女共同参画推進財団」を相手取り、大阪地裁に訴えた。被告側は、「三井さんの雇止めは、すてっぷの組織強化のためであり、バックラッシュ勢力に屈したということはない。採用試験は公正に行なわれたものであり、何ら不正はない」と反論した。提訴から2年半、第一審判決は全面敗訴した。

 報告会では石田法子、川西渥子、島尾恵理、宮地光子の各弁護士が判決の不当性として次の3点を指摘した。

 第1点は、証拠の採用の仕方が、豊中市に有利な点ばかり取り上げて、こちらが記しているものを取り上げていないこと。島尾弁護士は「無視した部分に重要な事実が多い」。その一例として、採用試験の前に、「あなたしかいない」と言って次期館長に内定していた人に懇請し続けた人権文化部長の行為を挙げた。三井さんが常勤館長をやると表明していたのだから、「あなたしかいない」のはうそではないか。そのことを判決は無視している。

 第2点は、三井さんやセンターに対するバックラッシュの事実は認めてはいても、三井排除決定に与えた影響を認めていないこと。宮地弁護士は「意図的に情報を秘匿したことを認めていて、その理由は不明としている。バックラッシュに屈したと認めたら、すぐ解ける。真摯(しんし)に事実認定をすれば結論は違うはず」と批判した。

 第3点は市民感覚とのズレ。

 館長採用試験の選考委員に、次期館長を探し回って懇請していた市の人権文化部長がなっているのに、選考への影響を認めていない点である。また指定管理者制度導入を控えた次期になぜ館長を非常勤から常勤にするのか疑問を持っていない点もその1つである。

 こうした判決の根底には、裁判官のジェンダー・バイアスがあるのではないかという指摘が出た。

 最後に三井さんは次のように二審への決意を語った。「女性センターは、男女共同参画基本法を浸透させるために造られた施設です。そこで働いている人は非常勤の女性ばかり。しかも、女性の人権推進政策を担う市の部長が、その政策を誠実に実行してきた女性センターの非常勤女性を首にしたのです。こっけいですらあります。多くの女性センター関係者からの頑張ってとの声に応えるためにも控訴しました」


(出典:社会民主党全国機関紙「社会新報」 2007年911月2014日)


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