さあ、FIGHTBACK(反撃)だ! 
                                      

美谷克己(小矢部市、炭焼き職人)

 去る2月22日(火)夜、ウィングウィング高岡の男女平等推進センターで、三井マリ子さんを迎えて集会があった。題して「とよなかで何が起こったのかー館長雇い止め・バックラッシュ裁判 富山報告会」。
 三井さんは10年以上も前から富山に何度も来ていて、よく知られた人であるが、ほかの有名人のように「アゴアシ付き」で「ご講演」に来るのではない。たいてい身銭を切って、女性議員(候補者)選挙の応援にくるのである。だから、ボクの選挙には来てもらったことはない(笑)。
 彼女に会ったことがある人はご存じの通り(フェミニズムの世界ではこのことは禁句なのかもしれないが・・・思い切って言ってしまおう!)、チャーミングな、とびきりの美人である。
 
その三井さんが雇い止め(解雇)されて裁判を起こしたという事件の概要は次の通りである(チラシから一部を転載)。
「三井マリ子さんは、2000年秋に全国公募で、とよなか男女共同参画推進センター『すてっぷ』館長に就任しましたが、しだいにバックラッシュ攻撃の的になってきました。豊中市はバックラッシュ勢力に屈し、三井さんの排除を画策するようになりました。また『すてっぷ』の嘱託職員の更新回数を制限する雇止め案を出してきました。嘱託職員は全員女性で、これは女性への差別です。強行すれば反対することが明らな三井さんを、市は疎ましく思ったのです。こうして市は、館長職を非常勤から常勤に変えて三井さんを雇止めにし、新館長への採用をも拒否したのです。
(注)バックラッシュ(反動・揺り戻し)とは、男女共同参画や女性学などへの曲解・無理解によるバッシングのことです。全国に拡がっており、NHK番組改ざん事件もバックラッシュによるものです。」
 当日は30人ほどが集まった(うち男が7人)。三井さんは「すてっぷ」館長に就任してから訴訟に至るまでの経緯を詳しく説明した。いつも通りの明るい笑顔を見せるように努力していたが、時折見せる表情からは、辛かった状況を思い出すからかあるいは、裁判闘争という、時間と金と労力の浪費とも思えるような闘いの渦中にあるからか、いつものチャーミングさとは幾分違った、すこしやつれた、憂いを含んだ印象を受けた。そのことが、あの元気な「闘士」をこれほどまで打ちのめしたこの事件の底深さを窺わせた。
「すてっぷ」の館長に就任して、三井さんが文字通り、水を得た魚のように活動したことは想像に難くない。マスコミへの露出度も高まった。豊中市というのは40万人程度の大阪のベッドタウンであるが、私の感覚でいえば、経済的にも知的にも民度は高い方であり、都会的なセンスの三井さんを受け入れる素地はあるはずだ。
 しかし、折しも豊中市では男女共同参画推進条例策定作業の真っ最中(結局03年10月成立)。そういう時期に、三井さんの活動がめざましければめざましいだけ保守派の反発も強く、バックラッシュも強烈なものとなったのだろう。
 さらに、アンラッキーというかラッキーというか、「日本会議」系のある組織の中心人物がたまたま豊中市議であったから、その強烈なバックラッシュに直面した行政が、自らを守るために三井マリ子をスケープゴートに差し出したのだろうと推測できる。
 この裁判闘争は、ただ単に雇い止めの不当を訴えるだけでなく、全国的に広がるすさまじいバックラッシュに対して反撃し、男女平等問題に限らず、日の丸・君が代や教科書問題と連動し、ついには教育基本法そして憲法の改悪へと雪崩をうってくずおれてゆきかねない趨勢を押しとどめる闘いでもある。今回の富山での報告会は、そのための「全国ツアー」の皮切りだという。

三井さんの訴訟を支える会=ファイトバックの会
http://fightback.fem.jp/  
カンパ振込先 郵便振替口座 00910-0-137307 口座名 ファイトバックの会

(出典:富山・女性センターを考える会ニューズレター第100号)

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