三井マリ子さん

「館長雇い止め・バックラッシュ裁判」傍聴報告

宮下奈津子



 

  豊中市にある、すてっぷをご存知の方は多いと思います。豊中の男女平等を進める拠点として多くの講座や映画祭などが行われています。三井マリ子さんはすてっぷの館長として2000年9月から多くの仕事をされてきていましたが、2004年の3月に突然解雇されたのです。もともとの労働条件は非常勤で契約期間は一年ですから、形式上は「更新しない」ということですが、通常はよほどの問題がない限り更新されるものであり、事実2年目、3年目にはいるときはそのような形で更新されてきたのですから、「更新しない=雇止め」には、相応の理由が必要なはずです。三井さんは、この雇止めによる損害賠償請求のために、豊中市と(財)すてっぷを相手取り2004年12月提訴しました。損害賠償請求という形をとってはいますが、三井さんの意図は、豊中市がもともと男女平等施策に熱心であったのが、バックラッシュ派の議員や勢力の圧力により、三井さんを館長から下ろしたということを明らかにしたいというところにあります。
 5月9日(月)に第3回口頭弁論があったので、大阪地裁に傍聴に行きました。今回は被告側の主張が出るということでしたが、法廷では「・・・を陳述します」の一言で事前に提出されている書面を陳述したことになるので、今後の期日を決めて、15分ほどで終わりました。そのあと近くの会場で交流会があり、弁護団から被告側の書面の中身を説明してもらいました。 
 被告の主張は、大まかに言えば、すてっぷの組織改革を何年も前から構想してきており、その中で、館長を非常勤から常勤にすること、そして館長と事務局長を兼任とすることを決めてきており、三井さんを意図的に下ろしたのではないということのようです。要するに、バックラッシュ派の圧力などは関係ないということを言いたいようです。
 今後、原告が被告の主張に対してそうではないということを立証していくことが必要になります。交流会の中では、「相手の土俵に乗っかってしまうようだ」と言う声も多々あったのですが、裁判というものは互いの主張を出し合って、どちらが事実であるかを裁判官に判断させるものである以上、仕方のないところです。被告側の主張に反証していくことは、そんなにたやすいこととは思われませんが、法廷のやりとりをしっかり見届けて、裁判官にいい加減な判断をさせないよう、傍聴席を原告側で埋めていきたいものです。ちなみに裁判官は3人とも男性です。これまでは手続き的なことですんでいますので、裁判官の考え方は正面には出てきていませんが、今後はどうなることでしょう。
 三井さんの裁判を支援し、バックラッシュの動きに負けないために、今全国で、ネットワークを作り、支援報告集会を開いています。京都ではすでに3月に行われましたが、多くの女性の輪が広がり、ML上でも活発な意見のやり取りが行われています。裁判は長期にわたることが予想されますが、是非注目して下さい。

(出典:『ふきのとう No.10』 編集・発行:女性問題研究会・関西(JMK)2005.5.28発行)

 

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