館長雇い止め・バックラッシュ裁判を支援しよう!
                                      

勝部尚子(大阪高教組女性部事務局長)

 三井マリ子さんが豊中市と「財団法人とよなか男女共同参画推進財団」を訴えた裁判の支援集会が、1月29日、クレオ大阪中央にて行われた。主催は、この裁判を支援するために結成された「ファイトバックの会」(代表:上田美江[スペースえんじょ])。http://fightback.fem.jp/

■女性を窮地に立たせる構造を問う
三井さんは、00年9月から非常勤で「とよなか男女共同参画推進センター」の館長を務めていた。昨年、財団の理事会が館長の常勤化を可決。改めて採用試験を受けたが不合格にされた。「採用拒否には合理的理由がない」として、12月17日、豊中市と財団を相手取り、1200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。
はじめに上田代表が挨拶。「三井さんに嫌がらせをしてきたバックラッシュ議員にも腹が立つが、それに屈した役所の体質にもっと腹が立つ。構造的に女性が窮地に立たされる社会風土がある。バックラッシュへの有効な反撃はなかなかできなかったが、ピンチはチャンスでもある。ここで大阪の女性は気合いが入っている所を見せたい」と、力強く述べた。

■組織強化の美名で非常勤館長を解雇
提訴に至る経緯は、三井さん自身が説明。
「『とよなか男女共同参画推進センター すてっぷ』は、豊中市の男女平等政策の拠点として2000年に開館された。館長は、年齢も性別も国籍も問わず全国から公募。私はその約60人の応募者の中から選ばれた。非常勤り限られた時間と権限の範囲ではあったが、自分自身の築いてきたネットワークを使って、フルに活動。他のスタッフのおかげもあり、『すてっぷ』はメディアでも取り上げられ全国に名前が広まった。
 ところが04年2月、突然財団理事会が開かれ、組織体制の強化という名目で非常勤館長の廃止・事務局長と兼任の常勤館長に変更することが決められた。不合理にこの職場から排除されるという恐怖感と、机を並べて仕事をしていた事務局長(形式上は館長の部下、市職員)にずっと嘘をつかれていたという屈辱感で、精神的にも追い込まれた。財団理事の良心に掛けようと、不本意ではあったが、常勤館長の採用面接に臨んだ。
 後で知ったことだが、後任館長の人選は極秘に前年の秋から始まっていて、採用試験の2ヵ月前にはすでに決定していた。館長の常勤化とは明らかに私の排除を狙ったものだった」

■なぜ、私を排除しなければならなかったのか
 「02年秋頃から『すてっぷ』の活動や私について、議会での嫌がらせ質問や、センター窓口での妨害、個人名をあげての中傷ビラ、根も葉もない噂の流布などが目立ってきた。男女平等政策を推進しようとする行政に、組織的に圧力をかけるバックラッシュ(反動)。この動きは全国各地、似かよったやり口で進められている。
 また、03年夏、事務局長は非常勤嘱託職員の更新について、4回を上限とすることを提案した。『すてっぷ』の嘱託は全員が女性。それが5年しか働けないとは、女性差別としか言えない。私が反対することは明らかだった。これも豊中市が私を排除したかった理由。
 行政はバックラッシュに呑み込まれて、男女平等政策を後退させている。そして、そのツケは女性が払わせられる。それは人類の進歩に逆行することであることを、この裁判を通して訴えたい」
 
■民主主義が問われる日本にとって重要な裁判
  この裁判の意義について、常任弁護士7人の中から寺沢勝子さん、大野町子さん、川西渥子さんが解説、「非常勤館長の雇い止めは、男女平等を推進する象徴としての三井さんの首切り。現在の社会状況の中で行政がバックラッシュに屈して、男女平等の流れを逆流させているところを、きちんと世の中に問いたい。これは基本的には反バックラッシュ裁判。あわせて、女性が大半を占める非正規雇用の雇い止めの問題を提起する。
  裁判所は古いので、もっと大きな動きにしなければこの裁判には勝てない」と。
  なお、この裁判は03年12月に和解した「住友電工裁判」の和解金を元に作られた、職場の女性差別と闘う裁判を支援するための基金が使われる第1号となる。

  バックラッシュ勢力による、三井さんや『すてっぷ』の活動への嫌がらせ、中傷、デマ攻撃のやり方は、ピースおおさか、リバティおおさかをターゲットにした歴史改竄派のやり方と相似する。また、女性国際戦犯法廷にかかわった故松井やよりさんへの誹謗中傷のやり方も同様と言っていい。
「提訴できただけでも幸せ。がんばります」と、三井さんは明るく締めくくったが、この裁判の成り行きは私たちの運動に直結する。皆さんの大きな支援を呼びかけたい

(出典:大阪高教組女性部ニュース134号 2005年2月3日発行)


三井さんの訴訟を支える会=ファイトバックの会
http://fightback.fem.jp/ 
カンパ振込先 郵便振替口座 00910-0-137307 口座名 ファイトバックの会

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