●●●●●●● |
緊急報告会・参考メモ
判決も認めた被告側の5つの嘘と不公正
9月12日、大阪地裁は、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」に対して判決をくだした。この判決は、原告側の主張をまともに検討することなく、被告側の主張を安易に採用した箇所が多い。しかし、原告敗訴のこの判決さえ、被告側の主張の嘘や不公正を以下のように認めている。
1)更新の手続き
「3回の更新の際、人権文化部長が、『すてっぷ』に来館し、簡単に原告の意向確認だけをする以上‥‥の事情は窺えない」(63頁)。
原告:原告の雇用契約の「更新手続きは形式的なものであった」
被告:雇用契約は、「更新の都度、更新の可否について実質的に検討されていた」。すなわち、財団の事務局長が「館長の更新の可否の判断に供するため、館長の業務執行状況を理事長に報告」し、理事長が「館長の雇用を更新する必要があると認めて雇用契約更新を指示」していた。
2)「すてっぷ」組織変更案
原告は、平成15年11月に説明を聞くまで、組織変更の「具体的時期についての認識を有していたとは思えず、また、館長職にまで影響があると認識していたとまでは考えられない」。組織変更案の「原告に対する説明は、事後的であったというべきである」 (56,69頁)。さらに、「本件組織変更が、被告財団事務局職員体制の整備のために過ぎないのであれば、原告に秘匿しなければならない必要性は考えにくい」(69頁)。
原告:「すてっぷ」の組織変更は、原告を排除するためのものだった。だからこそ、その決定手続きや原告の後任の選定・依頼は、秘密裏におこなわれた。
被告:原告の雇止めは、「すてっぷ」の組織強化のために、組織変更をおこなった結果にすぎない。原告には組織変更案を平成15年6月にきちんと説明しており、その際、「原告は、館長職の常勤化について『館長にはどういう人がいいかよね』と述べていた」、すなわち「原告は、平成16年度には本件契約の更新がされず、雇止めとなる可能性があることを、自らの身の振り方に関係する問題として理解していた」
3)後任館長人事
原告に「情報を開示していなかったことが認められる」。しかも、豊中市が密かに後任候補者に接触していることを知った原告が山本事務局長に候補者リストを見せるように迫ったところ、山本は当初は「知りません」と述べていたが、最終的には「(リストを)見ました」「私は三井さんを裏切りました」と述べた。山本のこうした対応からみて、豊中市側は原告に「意図的に情報を秘匿していたことは明らかである」(57,70頁)。この点に関しても、2)と「同様のことがいえる」、すなわち、「『すてっぷ』体制整備のために過ぎないのであれば、原告に秘匿しなければならない必要性は考えにくい」(69頁)。
原告:原告に対して、新館長も第一義的には原告であることを告げながら(2003年11月)、実は10月に候補者リストが存在し、市長の了承も得ている。そして密かに、原告の後任の人選を進め、平成15年12月中には新館長を桂容子氏に内定した。
被告:原告や他の理事の知らせずに行ったのは、財団職員の任免権は理事長にあり、個人のプライバシーの問題でもあるから慎重な配慮が必要だったためである。
4)組織強化
「後任館長である桂は、本件組織変更後、男女共同参画の仕事ができていないと 感じている旨の供述をしている」(70頁)。
原告:組織変更の強行は、体制強化ではなく原告排除が目的だった。現に組織強 化につながっていない。
被告:組織変更は「すてっぷ」の体制強化のためである。
5)採用選考
豊中市の本郷人権文化部長が桂に館長就任を依頼したことや、その際、桂が当時の職場を退職することを前提として話をすすめたこと、そのため本郷が、桂が新館長に選ばれなければ「我々が辞表を出して謝って済む問題やないというふうに、私は覚悟を決めました」と証言したことから、「そのような人物が、桂と原告を選考対象とする本件選考手続に関与することについては、公正さに疑念を抱かせる事情といわざるを得ない」(78頁)。
原告:桂に館長就任を依頼していた本郷部長が採用選考委員であることは、不公正な選考手続きである。
被告:常勤館長の採用選考試験は公正だった。本郷部長が常勤館長の採用選考委員会の一員であったことも、「正当」であり、「当然」である。2007年10月13日
館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会(担当・遠山日出也)
●●●●●●● |
トップページへ |
Copyright(C)ファイトバックの会All rights reserved.