すてっぷを視察して

2006年12月29日

さとう しゅういち


 私は、職業は、広島県の職員で、地方機関に勤めております。休日には、広島を始め、各地での、男女共同参画や平和関連の行事などにボランティアとして参加させていただいております。

 2006年12月1日から3日まで、「第3回・女たちの映像祭・大阪」が「すてっぷ」で開催されると伺い、友人のさそいで、私はスタッフの一員としてお手伝いをさせていただくことになりました。

 「すてっぷ」は大変立派な施設であり、また、組織体制の強化案を実行に移されて、働く職員に大きな変更があったとうかがっておりましたので、胸をときめかせながら、12月1日の夕方、広島での仕事が終わるとそのまま、「すてっぷ」へ参りました。この映像祭の期間中、館内をいろいろと見させていただきました。先進的な行政の地を参考にさせていただくことは、行政人としての私自身の将来の仕事のプラスにもなるとも考えたからです。
 以下、感じたことをありのままに記します。

 まず、受付のある5階に上がってみたところ、広いロビーには、約10人ほどの人がいましたが、受験生とその親と見られる人ばかりでした。どこかの高校の図書館に来たかと勘違いするほどでした。

 2日と3日の朝、桂容子館長が、映像祭の控え室となっていた視聴覚室に見えられ、こちらのスタッフに昨日の映像祭には何人参加したかなどということを聞いてこられました。こういう事務的なことは、若手職員がするものと思っていた私は、その3日間は、何らかの理由で、館長以外に職員はいないから例外的に館長がしているのだと思いました。しかし事務室を見ると、ベテラン風の女性職員と若手の男性職員とが各1名いました。とくに男性職員は、2日目は、何もする様子もなく机でじっとしておられました。映像祭のイベント終了後、桂館長にご挨拶をした際、「ああいう仕事(細かい事務)はわたしらのところ(県庁)ではまず、若い者が進んでするのですよ」と申し上げたのですが、館長は「うちはそういうところではありませんので」と否定されました。それにしても、映像祭は市民団体が主催ですが、「すてっぷ」との共催なのに、オープニングにさえ、「すてっぷ」からは桂館長ただお一人しか出てこられなかったことを他の映像祭スタッフから伺い、不思議でした。

 5階のライブラリーも自慢の施設と伺っていましたので行ってみました。しかし、有効に活用されているかどうか疑問でした。なぜなら、ここも受験生がほとんどだったからです。ほかには映像コーナーで中年男性がひとり、普通の外国風のドラマを視聴しておられました。もうひとり、若い女性が少女マンガを読んでおられました。一方、ライブラリー・カウンターには職員が一人だけおられ、手持ち無沙汰にしておられました。私が観察した際に、ジェンダー関係の本を読んでおられたのは一人だけ。その方は記憶に間違いがなければ、「映像祭」参加者のようでした。

 6階の隅にあるミーティングルームも受験生だらけでした。おそらくは市民たちの会議や打ち合わせ用に設置されたであろうテーブルは、受験生が占拠しており、座っていないテーブルには受験用の参考書やノートが散乱していました。そしてそこには、以前そこにあった印刷にともなう機器類が、6月から5階に移転されたという張り紙がありました。私は、広々としたここの会議室に印刷機や紙折り機などがあれば、市民活動をする際、話し合いながら編集・印刷作業したりすることにとても便利であり、市民の活動を活性化させるだろうに変だなと思いました。ボランティアの合間に5階のその印刷機器類が置かれている場所を見る機会がありました。そこは、三角形の非常に狭いコーナーで、印刷するだけで精一杯のスペースでした。私は、平和関連の活動で利用する広島市中区の「まちづくり市民交流プラザ」とつい比べてしまいました。広島の「市民交流プラザ」は、印刷機器類のほか、印刷物をおいたり、話合ったりするスペースがあります。なぜ、印刷機器類を6階のミーティングルームから、このような狭いコーナーに移したのか、釈然としませんでした。

 夕方5時を過ぎると、受付には制服姿の男性の警備員が座っておられました。一般職員はまだ在館されているのですから、その方で対応されればよいのに、と思います。受付は、市民がちょっと立ち寄って、トイレのありかや、イベントの開催場所を聞くなどする、窓口です。ここに、制服姿の警備員がドーンと座っていたのでは、地域の市民の方々が近寄りがたい雰囲気のため「すてっぷ」を敬遠してしまうのではないか、と思いました。

 さらに驚いたのは、市民活動のために、貸室の受付時間が、9時から17時までになっていることです。昼間、働いているものには無理な時間帯です。電話での受け付けも2回目からは可能だそうですが、17時までに利用料を払わないといけないそうで、びっくりしました。広島の「市民交流プラザ」なら、9時半から22時までの開館時間帯なら、いつでも申し込めるからです。

 私は、以前、全国的に有名だったときの「すてっぷ」は全く存じ上げておりません。しかし、今の「すてっぷ」を拝見して、女性の人権の確立と男女平等の推進を目的とする男女共同参画推進センターとしてみた場合、運営面で改善の余地が大いにあると感じました。そして事務局の職員体制を強化されたといいますが、これでほんとうに強化されたのだろうか、とたいへん疑問に思いました。

 以上、職員体制を変更して組織体制強化をしたとされる「すてっぷ」の現状を見て、釈然としないものを感じた3日間でした。

 次に、私が撮影した写真を添付します。

すてっぷ すてっぷ

  受験生と散乱するノート・参考書(6F会議室)  5Fロビーの様子。受験生ばかり

すてっぷ すてっぷ

  印刷機移転のお知らせ(6F会議室の扉)   17時以降、受付に登場した男性警備員(右)



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