三井氏の不当判決は女性政策を逆行させた 

勝又みずえ 農業


 9月12日、大阪地裁にて「館長雇い止めバックラッシュ裁判」に「棄却」の判決が下った。この裁判とは、豊中市の女性センター「すてっぷ」館長であった三井マリ子氏が、豊中市と同財団を相手取り不当解雇と女性の行政進出に対する豊中市の姿勢を問う二点で提訴したものである。

 三井氏は2000年9月、全国公募により選ばれ、館長に就任。前年、男女共同参画社会基本法が制定され、全国的に県市条例など法整備がはじまった。しかし一方、男女平等を嫌う某勢力は各議会・市民を通して、全国的に猛威をふるいだしてきた。

 三井氏は男女平等世界一の国・ノルウェーにくわしく、豊中市において斬新的な男女共同参画事業を展開していったが、それが、かえって彼らに狙われるもとになった。

 2年半にわたる圧力の結果、三井氏は契約終了として04年3月に解雇された。全国公募で華々しく選ばれた三井氏としては、あまりにも屈辱的な解雇であった。

 解雇の原因の一つは非常勤であったことでもあり、また、このところの劣悪な非正規雇用の増大に警鐘を鳴らすためにも提訴したものである。裁判長は「事実の認定はするが、違法性があるとはいえない」と、ことごとく原告の言い分を払いのけた。

 もし、三井氏が男性であったなら、議会や行政はこれほどまでの仕打ちをしただろうか。日本女性の社会的地位、男女共の人権意識はまだまだである。

 人権を抑圧する見えない厚い壁。向かうか、引くかは人それぞれであるが、私はともに戦いたい。それが子を生み出した女性の、本当の責任であると思うからである。


出典:(『週間金曜日』(2007年10月5日号))



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