三井マリ子さんの館長雇止め・バックラッシュ裁判の
『陳述書』を読んでください

宇野 澄江(ウイメンズセンター大阪)

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 00年秋に大阪府豊中市にオープンした女性センター、正式には「とよなか男女共同参画推進センター すてっぷ」の館長に公募で選ばれた三井マリ子さんが、04年3月、その職を辞めさせられました。

 数々の斬新なプログラムを打ち出し、ほんとうに精力的に働いていたのに、いえ、彼女があまりにもまっとうに男女共同参画を進めるような事業を実行しようとしたから、結局は一部のバックラッシュ勢力に豊中市が屈してしまったのです。

 ウイメンズセンター大阪では、01年以降、「女と健康フェスティバル」を「すてっぷ」との共催で開いています。
三井さんには機敏な実行力でとても助けられました。

 03年1月の第15回女と健康フェスティバル「女の健康運動〜過去と現在から未来へ」では、全体のパネルディスカッションで、コーディネーターをあざやかにこなし、会を盛り上げてくれましたし、自治体向けの提言書も「餅は餅屋にまかせてね。こういうのは得意だから」と、あっという間に仕上げてくれました。

 同じ年の11月に開かれた16回目のフェスティバルでもいろいろと協力していただいたのですが、それまでと何か違った空気を三井さんや館にも感じました。
「何かやりにくくなっている」ことはなんとなくわかりましたが、詳しい状況は知らないままでした。

 今回、この『陳述書』を読んで、はじめてこれまでの経過が理解でき、なんて大変な目にあっていたんだろうと、おそまきながら知った次第です。

 たとえば、03年11月16日に私たちと共催の「女と健康フェスティバル〜生涯にわたって女たちが望む心とからだのケア」があったわけですが、その前日の15日、三井さんは朝からずっと「ファックス事件(くわしくは『陳述書』を読んでください)」の対策会議に出ており、夜は市役所に呼び出され、午後10時までハードな話し合い、というより「脅し」に近いような目にあっていたのです。

 そんな翌日でも、毅然とした態度で会の進行を手伝ってくださっていたのでした。

 この『陳述書』の冊子は、06年3月に三井さんが裁判所に提出したものを、より多くの人にわかりやすいように編集した裁判資料です。

 A4判100ページで、400字詰原稿用紙240枚分あるそうですが、とても読みやすいものです。「男女共同参画事業」の目玉として各地に建てられた女性センターですが、その背景の自治体や議員との関係、非常勤職員の扱われ方、そして、「男女共同参画」が社会でどんなふうに見られているかが、よくわかります。

 残念ですが、これが今の日本の女性をめぐる状況なのでしょう。

 裁判はつづいています。裁判にかけつけられない人も、この陳述書を買って読んで、三井さんをぜひ応援してください。


(出典:「女のためのクリニックニュース 256号」2006年8月15日発行)


同ニュースはウィメンズセンター大阪発行の機関誌です。
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