勝利を呼んだ3つの奇跡

三井マリ子(館長雇止め・バックラッシュ裁判元原告)


 足掛け7年の裁判でしたが、最後は、皆さんと一緒に歴史的勝利を祝うことができました。長い間のご支援、本当にありがとうございました。
 書類のつまったキャリーバッグを引きずりながら、弁護団の後を追うようにして長い大阪地裁の廊下を渡って法廷に入室した、あの初めての裁判の日が昨日のことのように思い出されます。
 男女平等を嫌う政治勢力(バックラッシュ)が、豊中市幹部に圧力をかけて、私の首を切った……しかし、裁判は一筋縄ではいきませんでした。市の幹部は、情報を隠したり、嘘をついたり、虚偽の噂を流したり、記録を改ざんしたりと、ありとあらゆる情報操作をしたため、事の真相は、灰色のモヤに包まれてしまいました。
 隠された証拠の掘り起こしは、気の遠くなるような作業でした。「ああ、もう駄目だ」と何度思ったことか。でも、そのピンチのたびに、助け舟が現れました。お名前を明かすことはできませんが、“影の協力者”は、10人ほどになるでしょうか。今でも、手を合わせたい気分です。こんな非力な私を勝利に導いた陰には、3つの奇跡がありました。
 第1の奇跡は、「大阪の良心」と呼ばれる夢のような超豪華弁護団とめぐりあえたことでした。この専門家の皆さまの力なくして、あの複雑怪奇な首切りプロジェクトを解きほぐすことは、不可能でした。
 第2の奇跡は、浅倉むつ子教授が、夢のような意見書を書いて下さったことです。地裁裁判官の下した歪んだ判決が、ジェンダーと労働に関する日本一の権威によって論破されたのでした。
 そして第3の奇跡は、私を最後まで支えてくれた大勢の友人がいたことです。一審敗訴後に去った人もいましたが、雨にも風にも負けずに勝利を信じて、励ましてくれました。この3つの奇跡があって、次の判決が確定したのです。

「男女共同参画の象徴的存在であり、その政策遂行に顕著な成果をあげていた控訴人(三井)を、財団から排除するのと引き換えに条例の議決を容認するとの合意を、北川議員らの勢力と交わすにいたったものという疑いは、完全に消し去ることはできない」

 判決確定を知りうれしさに茫然としていた私も、やっと我に返りつつあります。この歴史的判例を胸に、さらにいっそう男女平等に向かって闘うことが、すべての皆さまへの恩返しだと思っております。またお会いできる日まで、どうぞお元気で。

←もどる

トップへ戻る
トップページへ