浅倉意見書感想 2

■バックラッシュ勢力を的確に分析

勝又みずえ



 鈴木誠子さん大感激の浅倉むつ子意見書、今、読み終えたところです。久しぶりに胸がスカッーとする、わかりやすくも、鋭い分析に思わずひきつけられて、一気に22ページ全文を読んでしまったところです。まさにペンの力・すごさそのもの。良質な学者の本領発揮最たるものと、感じいりました。

 是非、皆さまがたも直接読んでいただき、感動を共有いたしましょう。とにかく一挙に点数を稼いだ?高裁裁判長にこの難解な裁判の本質を、十二分に説明できたのではないかと思いました。

 浅倉むつ子先生は、早稲田大学大学院法務研究科教授で、特に労働法、ジェンダー法がご専門であり、この裁判の一番の原因であるバックラッシュ勢力について、的確な把握をしておられます。

 触れるだけでも危険きわまりないバックラッシュ勢力。その発信源を、1998年に創立した日本会議が中心と明言されています。実は、そのバックラッシュ勢力発生源のひとつである某宗教団体が、私の近くにあり、(この程度書くだけでも恐怖を感じてしまいます。)、過日体験してきました。宇部市の男女共同参画推進条例を、改悪したのも彼らであり、バックラッシュ勢力発信源の道場・人たちを見た私としては、浅倉先生のこの勢力分析すべてに、同感するところです。

 この意見書ではバックラッシュ勢力についての記述が、正味19ページのうち7ページ近くもあります。この勢力の正確な理解、認識無しでは、本件事案の本質はみえてこない。全くそうなのです。雇止めの、その奥にある真の原因、バックラッシュ勢力を正視しなければ、本件は裁けないのです。

 男性たちにとっても怖いバックラッシュ勢力。それにたったひとりで狙われた、三井マリ子原告の恐怖は如何ばかりであったか。浅倉先生が女性であるだけに、三井原告のこの著しい心身的苦痛を、誰よりもよく理解され、強調できたのではと、思いました。

 この勢力に対する正確な理解・認識の上に、雇い止めに至る過程で起きたさらなる問題点、「人格権侵害」、さらに「職場環境保持義務」という、耳慣れないが20年前(人格権侵害)、10年前(職場環境保持義務)からの、法的概念の観点から、本件を追求しておられます。

 人格権侵害については、字の通りの意味でありますが、職場環境保持義務とは、平成9年頃より判例としてでてきた、労働者にとっては人間性重視の画期的概念であるようです。使用者は、労働者を雇用するに当たり、その働く場を、物的にも精神的にも良好な状態で就業できるように、職場環境を保持する義務を負っているということです。

 もし、働く環境が悪ければ、労働契約上の債務不履行責任を問われることになります。三井原告の豊中市での職場環境がどうであったか。いうまでもなく、職場環境配慮義務違反で、債務不履行責任を完全に問われると考えられるわけです。

 9月18日の第3回控訴審において、裁判長はこの浅倉意見書をすでに読んでおられた、そんな感じがしたと、弁護士の先生が言われていましたが、これを読む、読まないとでは、この館長雇い止めバックラッシュ裁判を理解するに当たり、天と地ほどの違いがでてくるのではないか。そういう意味でも、このたび浅倉むつ子先生に意見書を出していただきましたことは、力強い追い風となって、判決へ多大な影響を与えるのではないかと、思われてなりません。先生に心からのお礼を申し上げますと共に、私たちもさらに支援の輪を広げ、元気に活動してゆきたいものです。



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■筆の力に感動

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