浅倉意見書感想 7

■平易な表現に感謝の念がわいた

岡田夫佐子

 遅ればせながら、浅倉むつこ教授の意見書の感想をお伝えします。内容については、何人かの方が報告されていますので、私は何が“すばらしい”かの感想を。

 なんといっても表現の平易さ。すらすらすらっと、読み進めることができます。「弁護士解説つき交流会」(9月18日)での、三井さんのお話では数十センチメートル以上の双方の準備書面等の書類の山を、一週間の夏休み返上ですべて読み上げた上での執筆だとか。労力をかけた確かな情報に基づいてこその“平易さ”と、感謝の念がわいてきます。

 特徴としては、「バックラッシュ勢力」の実態について、その道の通でなくてもわかるよう、つまり、いまだ踏み込んだことがないかもしれない裁判官にも理解できるよう、具体的に解説されていること。バックラッシュに目をつけられた各自治体職員がいかにそれに翻弄され、疲弊しきるか、その結果として、萎縮し、つくばみらい市のDV講演会中止にみられるごとき、自己規制に追い込まれるか、が、心理描写とともに、手にとるようにわかりやすく書かれています。その延長線上に、豊中市の“三井排除”があったと、説得力をもって、浮かび上がらせています。その“三井排除”の方法・やり方は大きく4点を挙げて、「人格権侵害」に相当し、さらに雇用主に課せられている「職場環境保持義務」違反である、と断じています。

 もう一つの特徴として、この「職場環境保持義務」について、スペースをとって解説している点が挙げられるのでは、と思います。この言葉は、司法、行政、使用者の間では、かなり認知され、実際に使われてもいる、と感じますが、まだ、一般の労働者側にはしかと入ってきていない“新種の概念”と私には感じられます。かくいう私も、この裁判傍聴直前に、愛知県労働委員会に相談事があって足を運んだ際、労働委員会の職員がしきりと、この言葉を口にして初めて、頭に入った次第です。

 身体的な危険に対する「職場環境保持義務」は、工事現場などで、古くから意識されてきたもの、と思われますが、精神的または性的な危害についてこの言葉が使われるようになったのは、浅倉意見書でも書かれているように、「セクハラ防止法」成立以後ではないか、と感じます。この概念、使用者責任として、今後ますます必要となる、と感じています。すでに、多数の判例も築かれており、三井さんへの幾重にも重なる「人格権侵害」を放置、傍観どころか、嘘までついて積極的に実行した豊中市および財団の責任は免れない、と思います。



■バックラッシュの怖さをわかりやすく

浅倉「意見書」は女たちへの大きな希望/ご注文はこちら

j

トップへ戻る
トップページへ

Copyright(C)ファイトバックの会All rights reserved.