判決は結審時の裁判官が「書く」のだそうです


三井マリ子(すてっぷ初代館長、控訴人) 

 控訴審は2009年5月に結審しました。大阪高裁の塩月裁判長は裁判長席から「追って判決の日を知らせます」と言いました。傍聴席に座っていた皆さんの耳元にも残っているはずです。しかしその後、待てど暮らせど連絡なし。弁護団も「おかしいですねぇ」。

 民事訴訟法251条によると、判決は、基本的には弁論が終わった日から2カ月以内に出るそうです。ということは、5月に終わったのですから、7月末頃には判決となったはずです。しかし251条は、「事件が複雑であるとき」「その他特別の事情があるとき」はその限りではない、とも書いています。「館長雇止め・バックラッシュ裁判」は、この例外にあてはまるようです。

 でも、さらにおかしいことがありました。9月に裁判長と裁判官 が変わったのです。私がそれを知ったのは、大阪高裁のホームページでした。弁護士も、熱心に支援してくださっている友人や知人も、 全く知りませんでした。私は、裁判官が変わったのなら担当の弁護士に知らせてくるはずだ、と思いこんでいました。でもこんな常識 は、裁判所には当てはまらないようです。9月が過ぎ、10月も終わりました。その間、何も連絡はありません。

 世話人の皆さんは、「これまでの審議は塩月裁判長のもとで行わ れてきたのに、判決だけ新しい裁判長が言い渡すなんてどう考えて もおかしい」と言います。当然です。これから、新しい裁判官が膨大な書面を読むことは無理がありますし、法廷でのやりとりに全く参加していなかった人が判決を書くのだとしたら、法廷などいらな いような気もします。

 10月30日、大阪高等裁判所に電話をしてみました。第11民 事部の書記官は次のように回答しました。

「弁論が終結したときの裁判官3人で判決を書くことになります。 この事件については塩月裁判長と他の2人の裁判官が書くことになると思います。でも、判決の言い渡しは、(新しい)成田きたる裁 判長となります」

ということで、書くのは前の裁判長と裁判官。言い渡しは、新しい 裁判長です。

 いつかはわかりませんが、判決の日に出廷し、目を裁判官席の方に移して、「あれッ、塩月裁判長ではない!」と傍聴席騒然---こうならなかっただけでもよかったのでしょうか。

 日本の裁判って、どこかヘンですね。

 

出典:「ファイトバック!」第12号 (館長雇止め・バック
ラッシュ裁判を支援する会、2009年11月20日発行)
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