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−館長雇止め・バックラッシュ裁判の最新報告−
公正審議の要請ハガキ、脇田意見書、女性差別撤廃委員会の勧告 岡田夫佐子記
さて、肝心な控訴審判決の日程ですが、いまのところ“なしのつぶて”です。世話人のあいだでは、9月をあきらめるムードも出始めています。三井さんも「早く決めて欲しい」のは山々かと思いますが、こればかりはなかなかに、予測困難です。 しかしながら、5月の結審から今日までに、いろいろなことがありました。一番は衆議院解散総選挙でしょうか。このニュースの印刷日が投票日であり、皆様のお手元に届くころには、選挙結果も明らかとなっています。この間、新聞各社は何度も無作為抽出によるアンケート調査を行い、政権交代をほぼ確実、と予測、報道してきました。この画期的ともいえる社会の空気の変化を、法律のみに忠実であれと言われる裁判官といえど、感じないはずはありません。選挙結果によっては、法律そのものが変わる可能性があるのです。とはいえ、本当の意味で法律に忠実に判断してくれることを、三井裁判は望んでいます。 意見鑑定書を提出していただいた脇田滋(しげる)龍谷大学教授の解説は、何重にも、更新3回の非常勤館長に勝算あり!としています。現行法の範囲で、裁判官が法律解釈さえ間違わなければ、原告(控訴人)が勝つはずなのです。意見書は、実に説得力があり、素人の私が読んでも十分に理解できるものです。「男女共同参画社会基本法」という法律に基づいて作られた男女共同参画推進センターにおいて、女性労働に関する法律を縮小(拡大の逆)解釈することは許されず、積極的に原告を正規登用すべき立場にあり、それを拒む正当な理由はない、としています。全く、ストンと胸に落ちる解釈です。 この裁判は、単なる非常勤館長の雇止め裁判ではありません。その無理矢理な雇止めの背景に、バックラッシュへの行政の屈服があった!というものです。そのスケープゴートとして差し出されたのが、実績を積んできた三井マリ子初代館長です。非常勤という決して恵まれた条件でのポストではないにも関わらず、実にいきいきと使命感に燃えて仕事する姿が、三井さん自身の「陳述書」に活写されています。“すてっぷ”は女性労働を何と考えているのでしょう。 次に、本裁判に関係が深いと思える出来事は、国連の女性差別撤廃委員会が日本政府への勧告をおこなったことでしょうか。 「委員会は、日本政府に、ただちに次の方策をとることを要求する。条約が国内の法制度において、完全に適用されるようにすること。国の法規に条約の条文が完全に一致するようにすること。その際、必要ならば制裁を含めること」と強い調子で勧告を行いました。
「さらに委員会は、日本政府に勧告する。裁判官、検察官、弁護士が条約の目的・内容をよく理解し、司法の中で使えるようにするため、条約や委員会勧告の周知徹底に努力すること」としています。 国際法は、国内法を上まわる上位法です。たとえ、国内法の整備が遅れていた(遅れすぎですが)としても、批准をしている限り、有効なはず。それを「周知徹底しなければ、裁判官、検察官、弁護士といった司法関係者が使えな現状である」、と指摘しているのです。 岡田 記 出典:『ワーキング・ウーマン:男女差別をなくす愛知連絡会』 |
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