〜三井マリ子さん、敗訴から控訴へ〜

私たちは決して後戻りしない

ファイトバックの会・高知 木村昭子

週間『新社会』

 昨年8月1日号の本紙に寄稿させてもらった「女性たちの心に灯をともす闘い」という拙文記事をご記憶だろうか。本誌(06年8月1日号)に寄稿した拙文である。

 女性政策研究家であり、ノルウェー研究の第1人者である三井マリ子さんが全国公募で「とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ」の館長に採用後、実績と貢献を評価されながら一方的に解雇された。三井さんは、解雇は違法と豊中市相手どって提訴した。その経過を報告させていただいたものだ。

 首切りの裏には、現職の市議を含むバックラッシュ勢力の圧力に豊中市が屈したこと、雇用主の都合で使い捨てられるてもやむをえないとされたきた日本の非常勤職の現状があった。すなわち三井さんの提訴は、労働権を不当に剥奪されている多くの女性たちの心に灯をともす闘いであると私は強く訴えた。

 あれから1年余。「館長雇止め バックラッシュ裁判」は9月12日の判決を迎えた。「その一瞬」を共有するため、法廷に入りきれないほどの支援者が集まった。その耳に届いた裁判長の言葉は信じがたいものだった。

 「原告の請求をいずれも棄却する」、予想もしなかった結果。このような不当な判決を聞くために、2年半を闘ってきたのではない!

 13人の常任弁護団(弁護団は38人)や三井さん当人が、15回に及ぶ口頭弁論で訴えきた真実と、被告側の矛盾を証明したおびただしい証拠はどうなってしまったのか!

 北海道から九州まで、各地に出来た支援グループのメンバーが口頭弁論のたびに大阪地裁に集まり、また各地に散っては広げた活動は、三井さんが受けた理不尽な仕打ちに怒り、この裁判に勝つことは多くの女性たちの未来に絶対必要だと信じたからだった。

 判決は、三井さんの正当性と被告側の不当性を認めたものの、「法に違反しているとはいえない」と矛盾に満ちた結果だった。法の正義とは何か。

 不当判決への憤りが、三井さんや弁護団、支援者たちを激しく燃え上がらせた。

 弁護団は不当判決に、「判決は証拠を正しく見ず、その結果、強まっている男女平等に対するバックラッシュ攻撃にくみし、男女平等を後退させる判決をした。また、非正規職員の地位についても、契約の更新による期待権を認める86年12月の日立メディコ判決最高裁判決からも後退する判決で、断じて容認できない」と声明を出した。

 支援者もは「今日を再出発点に控訴をして、より大きな闘いにしよう!」と控訴を求める思いに固まった。そして、原告の三井マリ子さんは9月26日、一審判決を不服として大阪高裁に控訴した。「2000万人ともいわれる非正規職の労働者のために、そして私自身のために、この判決を認めるわけにはいきません」と。

 「女性たちの心に灯をともす」ための女たち・男たちの闘いは第2のステージに移った。読者の皆様、どうかこの闘いの輪に加わってほしい!

 判決文、弁護団声明、三井マリ子さん声明は下記からご覧下さい。
判決文http://fightback.fem.jp/1sin_hanketu.pdf
■弁護団声明 http://fightback.fem.jp/press07_9_12bengodan.html
■原告声明http://fightback.fem.jp/press07_9_12mitsui.html

(出典:週間『新社会』 2007年11月30日)


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