館長雇止め・バックラッシュ裁判  結審しました

岡田夫佐子記


『ワーキング・ウーマン』

 5月22日、ワーキングウーマン事務局メンバーの畔柳みつ子さんとともに、大阪高等裁判所74号法廷を傍聴してきました。と言っても、最終(第5)準備書面等は前もって裁判所に提出している為、裁判長が双方に、「主張は出尽くしましたね?」というような確認をとり、両者の弁護人が簡単にそれに応答する、というやり取りのみで、10分もかかったかかからないかで終わってしまいました。今回はさすがに結審とあって、皆さんいつも以上に多くの方が駆けつけてくださり、傍聴席を満席にするだけでなく、法廷に入りきれない人が廊下に待機するという盛況ぶりで、裁判所に対して、結審らしいアピールができた、と胸をなでおろすと同時に、ご支援いただいている皆様に改めて感謝の思いが沸いてきました。
 その後すぐに、弁護士会館に移動しての「弁護士解説つき交流会」へと、舞台を移しました。最終(第5)準備書面を分担して執筆された、寺沢、川西、島尾、宮地、長岡、大野の各弁護士から、被告、豊中市側の主張の矛盾点および、一審と二審での主張の変遷などを交えた解説をしていただき、質疑応答も途切れることなく有効に時間を使ったと思います。
 ここで、すてっぷへの嫌がらせを繰り返した「教育再生地方議員百人と市民の会」事務局長増木重雄逮捕!のニュースが、現地西宮市民から報告されると、会場はひとしきり、その話題に沸きました。この人物は、豊中市での三井排除の目的を成功させたのち、舞台を西宮市に移し、市立小学校の女性校長に「西宮市教職員組合の役員を務める男性教諭を処分しろ」と要求し、校長が断ると、「入学式に街宣車を出して抗議活動をする」などと脅し、「暴力行為等処罰に関する法違反容疑」で逮捕されたのでした。これを報道した新聞各社の記事を証拠として、今回、提出しました。
 いいタイミングでの、増木重雄逮捕のニュースは、バックラッシュ(男女平等を嫌う反動勢力)への注目を集め、まさにこの裁判が「バックラッシュと闘う裁判」であることを印象づけた、と思います。

 さらに、東京都立七尾養護学校の性教育を、一部都議会議員や都教育委員会が「不適切だ」と決め付け、教材の没収などを行った行為は、「教育の自由の侵害である」として、当時の同校教員や保護者らが、損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁が都議の行為を「教育の不当な支配」と認め、都議会議員3人と東京都に総額210万円の賠償を命じた新聞報道も、証拠として提出しました。
 この都議3名が、先の増木重雄と同じ「教育再生地方議員百人と市民の会」の会員であることを示す証拠として、同会ホームページをも提出しました。これで、バックラッシュとはいかなるものか、を構造的に示すことができた、と思います。
 七尾養護学校の判決は、賠償額こそ多くはないものの、都議の不当な横やりを裁判所が「不当である」と認めた意義は大きいものがあります。

 交流会で岡田は、「脇田意見書を読んでいると、正当な理由なしに解雇できないという“解雇制限法理”は、正規雇いのみならず非正規にも同じように適用されることが判例、法律によって確立している、と書かれているが、実際の法廷での運用ではどうなのか」と、質問してみました。長岡、宮地両弁護士の返答は明快に「確立しています」でした。ただ、問題なのは「有期の場合なんです」とのことだったので、さらに、「契約更新への期待権が確立していないということでしょうか?」と質問を重ねると、「いや、期待権も確立している」との返答。さすがに三度はきけませんでしたが、ということは、契約を更新しない正当な理由があったか、なかったか、という問題になるのか?
 こちらから見ていると、人物の仕事ぶりにおつりはあっても、不足はどこにも見えないし、「常勤ができないと言った」はうそ・デマであることが一審で明らかになっているし、常勤化にあたっては、非正規雇用についている者に優先権がある、と脇田滋教授は法解釈を述べているし…で、私の頭の中では勝つ!以外の答えはないことになるのです。

 最後に原告である三井マリ子さんからの「結審を終えて」のメッセージと、感謝の言葉をお伝えします。
 最後の段の、「館長雇い止め・バックラッシュ裁判を支える会の皆様」の中に、団体加入していただいているワーキングウーマンの皆様を含みます。ぜひ、お目を通していただきますようお願いいたします。





長岡弁護士、三井さん、大野弁護士、川西弁護士、島尾弁護士、寺沢
弁護士、宮地弁護士(大阪弁護士会館、提供:ファイトバックの会)

 ハガキ作戦! 
今回、判決日は具体的には示されませんでした。追って沙汰する、ということですが、9月頃ではないかと、見込まれます。それまでに、裁判所への公正な判断を望むハガキ作戦を展開することが交流会の場で決まりました。控訴審最後の闘いとなります。裁判所が夏休みモードに入る前が有効との判断の元、早速ハガキの作成にとりかかりました。逆転勝訴を勝ち取るべく、同封させていただきましたはがきに託し、名古屋からの応援パワーをぜひとも裁判所へ届けていただきますよう、ご協力をよろしくお願いいたします。

 また、判決に行ける、という方がありましたら、岡田までご連絡ください。

岡田 記

出典:『ワーキング・ウーマン:男女差別をなくす愛知連絡会』     
〒464-0092 名古屋市千種区茶屋が坂2-6-B-805 ワーキング・ウーマン
申し込み先 〒振替 00870−4−10024 (年間購読料 4000円)  

ワ−キング・ウ−マン


トップページへ戻る
トップページへ

Copyright(C)ファイトバックの会All rights reserved.